世間のみなさま、こんにちは。
徳谷柿次郎ときいて、どんなことをイメージしますか。
柿次郎くんをググると、いわずもがな、彼の生い立ちをしれるキャリアハックの記事がでてくる。夜逃げ、ヤミ金、改名、離婚など、理不尽のアカデミー賞を総なめしてる。
そこから、有限会社ノオト、日本一ふざけた会社といわれるバーグハンバーグバーグ、Huuuu株式会社の独立、起業、取締役社長までプロセスを経る。
状況を脱する一つの機会となったノオトの宮脇さんとの出会い。夢も希望もなかった26歳の青年が、松屋同僚の主婦まさこにバイトの代理を頼み、宮脇さんにあいにいくシーンなんて映画そのもの。シンデレラストーリー。現代の成り上がり。
「ない」コンプレックスを脱するために、自分ができることを率先しておこなう。ありえない時間の誘い、深夜バスに乗って東京まで仕事のプレゼン。できることは全部やる。背水の陣。当時から「やってこ」を体現しているかに見える。。。
ちょっと待って。
この本を読むであろう「ない」に悩む読者のみんな。そもそも「柿次郎」ファンのみなさん。僕は少しだけ心配なんだ。「柿次郎」に憧れ、崇め、なぞらえ、「柿次郎」を無意識的にメソッド化し、「ない」を「ある」を変えたいと期待しているみんな。
そこだけをみたらダメなんだ。
柿次郎くんは土門さんとのラジオで、26歳で洋平は死んで、柿次郎として覚悟を決めた、という言葉をいっている。その後、アイデンティティの強制上書きという記事を書いているように「柿次郎」はアップデートしていってる。
しかし、上書き、アップデートという言葉が持つ裏には、僕には洋平、いや洋平少年がOSそのものだったんじゃないかって思えるんだ。死んでいないんだよ。
思い出してほしい、宮脇さんとの出会いのとき。柿次郎くんは洋平だった。彼は、松屋の主婦バイト・まさこに代理を急きょ頼んでいる。そして、彼女は快く送り出してくれる。これって柿次郎の「意志の力」でも「やってこ」の力でもなんでもない。洋平が素直に、マジメに毎日、毎日、松屋の中で仕事をして、信頼を貯蓄していたってことなんだ。じゃなきゃ、急きょの頼みに心地よく送り出してくれないだろう。
柿次郎くんが洋平少年だったときもそう。少年ジャンプの感想を毎週毎週、漫画ごとに20本ほど載せる。ヒップホップのレビューサイトを運営し、新聞配達時に聞いて、その日に書く。ちょっとしたことなんだけど、ずっとずっと続ける。彼は、そんな「ちょっと」を続けて2000本くらい記事を作っていた。誰が読むかはわからない。けど、反応がかえってきたり。そのちょっとしたコミュニケーションを動機づけにして、コツコツ、コツコツ、表明し続けていた。
この様子からも、洋平少年に「素直さ、マジメさ」を感じる。(自分自身でもそのように表現している。)そして、僕には「健気さ」っていう言葉もピンときている。「柿次郎」を動かしているOSはこんな優しさでできていると勝手に思っている。
それは今も続いているように思う。柿次郎くん、いや洋平少年。もうなんて呼んだらいいのか自分の中では混乱している。経営会議のために読んだ7年分の彼の記事に、その「優しさ」たちは、記事に散りばめられている。「社会からの要請とジャムおじさん」「人生のカードデッキ論」「アイデンティティの強制上書き」「シモダテツヤと柿次郎の「経営者の孤独」」「文章が書けなくなっている」「文章が書けるようになった」...etc
断片的な記憶をストレートに、それこそ素直に記す。知られたら恥ずかしい気持ちも表明する。未完成でもいい。誰の反応があるかはわからない、、読んでると洋平少年がチラつく。
記事だけじゃない。この前飲んだときに初期SNSの話になったとき、惜しげもなく黒歴史であるmixi日記を僕やだんごさん、藤原くんに、隠すことなく見せてくれた。なんかそういうちょっとしたこと。素直に、マジメに、健気に、表明する部分に愛しさを感じている。
プロフィール
荒井 慶悟(あらい けいご)
「小さな声を掬うをコンセプト」に場づくりを行っています。
おまおれエッセイ寄稿コンテスト開催中(8/20〜9/16)
アイデンティティを他者との対話で探る。今回の本のポイントです。テーマ「おまえの中の柿次郎を教えてくれ」でエッセイを寄稿してみませんか?
10名の方におまおれ本と黒磯本をセットでお送りします。
※詳細・応募フォームはこちら
『おまえの俺をおしえてくれ』エッセイ寄稿コンテンスト 受付フォーム
9/16 出版記念イベント開催@東日本橋CITAN
東京@東日本橋のホステル「CITAN」で出版記念トーク&販売会やります。トーク相手に柳下さん、石崎くん。DJはスリーパーさん。
40歳誕生日にかこつけて、お祝いに本を買ってもらう商魂たくましい催しです。
※イベント詳細・参加はこちら
書籍概要
■著者プロフィール■
徳谷柿次郎
1982年大阪生まれ。長野県在住。新聞配達と松屋のシフトリーダーを経て、26歳のときに背水の陣で上京し、コンテンツメーカー「有限会社ノオト」へ潜り込む。2011年に「株式会社バーグハンバーグバーグ」入社。バックオフィス、広報、WEBディレクター、ライター編集職を経て2017年に満を持して独立し、「株式会社Huuuu」を設立。全国47都道府県のローカル領域を軸に活動している。どこでも地元メディア『ジモコロ』編集長7年目。長野県の移住総合メディア『SuuHaa』を立ち上げたり、善光寺近くでお土産屋『シンカイ』を運営したり、自然と都会の価値を反復横とびしている。
■商品情報■
・今、自分は「ある」よりも「ない」だと思っている人
・自分の生き方に選択肢が「ない」と思ってる人
・いつか「ある」状態になりたいと思ってる人
この本はそんな人にこそ読んでもらいたい。
タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者 :徳谷柿次郎
出版社 :風旅出版
発行元 :Huuuu
定価 :定価 大人1,800円(税別)
判型 :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日 :2022年9月16日(40歳)
目次(抜粋)
1)自分で自分を編集する
2)異常でしたね。執着が。
3)セロトニンがでない部屋
4)おまえすごいな、最高やな!
5)「遊ばなきゃ」っていう意識
6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
8)おまえの俺をおしえてくれ
寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(敬称略)
※この商品は「予約販売」となります。
ご予約(ご購入)いただいた方には、9/16より順次発送させていただきます。
■おしらせ■
学割 対面販売キャンペーンをやります!
・長野市『シンカイ』実店舗
・9月16日 出版イベント@CITAN(東日本橋)
・9月18日 出版イベント@シンカイ(長野市)
「本読みたいけど、お金がないよ!」とお嘆きの学生向けに対面販売限定の格安販売キャンペーンを行います。上記の店舗、全国出版ツアーのイベント会場に来てもらって「学生証」を提示してもらったら、野口英世×1=「1000円(税込)」で販売。いつか出会える「おまえ」のために「おれ」が足を運んで、ギリギリ価格で攻めます。定価で買ってから値下げのキャッシュバックはできないのでご注意ください(そりゃそうだろ!)。
柿次郎×土門蘭 出版カウンセリングRADIO