2021年7月4日、僕は長野にいた。
「SuuHaa」や「OYAKI FARM」、「シシコツコツ」等、長野で様々なプロジェクトを手がける藤原正賢くんに紹介したい人がいると呼ばれ、東京から新幹線でやってきた。(藤原くんとは実はその2日前に松本の自然派ワインバー「peg」でたまたま知り合ったばかりだった。)
東京駅と比べると一昔前の雰囲気についつい肩の力を抜いて散策してみたくなる長野駅周辺。
チェーンでないからこそ東京では見慣れない個人店に目を奪われながら歩いていくと、その日のお店「だいだらぼっち」に到着した。
暖簾をくぐり藤原くんについていくと、薄暗く照らされた席に3人の男たちが横並びに座っていた。
軽く会釈をしながら、そそくさとテーブルとイスの間をカニ歩きして向かい真ん中の席につく。
「柿次郎です」
「だんごです」
「ヒュウガです」
挨拶とともに渡された名刺。
他の数多の人同様に「実名なんですか?」と思わず聞いてしまう。
「たけし軍団のようにつけてみたんですよ。」という真ん中の男性がリーダー格のようだ。
風貌にも色々こだわりがありそうな3人。
名刺挨拶からのフォーマルなスタートとはいえ、日頃企業や行政とのやり取りが多かった僕はいつもとは違う雰囲気を感じとっていた。
そう、僕は柿次郎さんもジモコロもまったく知らなかったのだ。
まず手始めに色々な話題を出して共通域を探ると、オニバスコーヒーの坂尾篤史さんが当たったことを覚えている。
それから少しずつオランダやサーキュラーエコノミーの話題に移ると、3人ともグイグイと前のめりになってくるのが伝わってきた。
「フェアフォンすごい!」
「ボトムアップ精神重要ですよね〜」
「Learning by doingって、まさに「やってこ!」」
と、僕がオランダのサーキュラーエコノミーを、そして3人が日本のローカル実践者を訪問し続けてきた中で見えてきた現代のキーファクターともいえる重要な要素が一つひとつ結びついてきた。
一年程前に帰国した後、黒川温泉や白馬村といったローカルに関わるなかで薄々と感じていた「サーキュラーエコノミーの視点では、日本の地方にこそ無数の可能性が見えてくる」という仮定。
それは柿次郎さんたちとの出会いで確信に変わっていった。
彼はそれを「サーキュラーエコノミーの眼鏡」と編集者視点でのわかりやすい表現にしてくれた。
「サーキュラーエコノミーの眼鏡をかけると、課題が可能性に、廃材が宝のような資源に見えてくる」。
本当にその通りだ。
その日の会合後の柿さんの投稿。
https://www.facebook.com/photo?fbid=4235682606470025&set=pob.100002763919312
まもなくして柿さんが、僕の本を100冊購入し長野で運営されている「シンカイ」で販売くださり、さらに出版イベントを企画中であることを拙書の編集者経由で知った。
「サーキュラーエコノミー実践、おもしろすぎるので100冊仕入れて著者呼びますね」
https://note.com/kakijiro/n/n192fe2a0c466
長野で参加者の感触を確かめた後に、サーキュラーエコノミーの眼鏡を掛けてさらなる可能性を探るべく、編集者の藤本智士さんにも加わっていただき、京都・秋田で立て続けにサーキュラーエコノミーイベントを開催した。
「藤本智士×安居昭博×徳谷柿次郎! 編集者二人がサーキュラーエコノミー実践者を挟む会」
https://mtrl.com/kyoto/event/211025_ce
「AKITA サーキュラー・エコノミー・ツアー」
https://note.com/re_satoshi_f/n/n22ed14055d87
Yahoo! Japan SDGsチームを巻き込んで取材いただいたときの記事。あの日長野の「だいだらぼっち」での出会いから、彼らの手によってサーキュラーエコノミーの考えが脈々と広まっていく..
https://sdgs.yahoo.co.jp/originals/100.html
ご一緒させていただくなかで、紙媒体とは違った「地域の編集」という視点があることを柿さんと藤本さんから学ばせてもらった。
「地域編集 x サーキュラーエコノミー」の視点は非常に強力で、今でも自分の活動の軸になっている。
「ある分野の廃棄物が、別の分野の資源になる」というサーキュラーエコノミーの視点では、地域の例えば「建築・食・ファッション」や「企業・行政・教育機関」といったこれまで別領域だった分野と人が結びついてくる。
ミツバチが受粉して回るかごとく各地を駆け巡り情報を届け人を繋いでいく。
その先には地理的にも時間軸的にもこれまでにはない、自由で生き生きとした無限の可能性が見えてくる。
例えば秋田・長野・京都をつなぎ、これまで価値が見出されてこなかった経産牛を語るイベントを開催してみたり。
https://nikahonohokani.com/2022/02/5971/
岐阜・郡上を流れる長良川源流域をサーキュラーエコノミー視点で探ってみたり。
https://greenz.jp/2022/03/17/gujo_genryu-yugyo/
これまた柿さんにご縁をいただいたローカルデザイナー・須藤修さんと山形の可能性を探る旅を実行してみたり。
https://note.com/akihiroyasui/n/nf9d4558c8ad9
気がつくと取り憑かれたかのように、月の半分は見知らぬ地方を訪問するようになっていた。
藤原くんに繋いでいただいて一年が経った頃には、柿次郎さんとの共通の友人は250人を超えていた。(一年間で170人増、、笑)
あの日「だいだらぼっち」で出版から一週間後に柿さん達と出会ったのは運命としか言えないようにも思えてくる。
柿次郎さんらHuuuuチームとはこれからもご一緒させていただく機会が多いと思うけれど、これまでのように引っ張っていってもらうだけでなく、こちらからも何かしら有益なgiveを与え続けられる関係になるように、これからも自分らしい人生を歩んでいきたい。
プロフィール
安居 昭博(やすい あきひろ)
1988年生まれ。Circular Initiatives&Partners代表。世界経済フォーラムGlobal Future Council on Japanメンバー。ドイツ・キール大学「Sustainability, Society and the Environment」修士課程卒業。京都市委嘱 成長戦略推進アドバイザー。2021年、日本各地でのサーキュラーエコノミー実践と理論の普及が高く評価され、「青年版国民栄誉賞(TOYP2021)」にて「内閣総理大臣奨励賞(グランプリ)」受賞。2021年より京都在住。著書に「サーキュラーエコノミー実践 ーオランダに探るビジネスモデル(学芸出版社)」。
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書籍概要
■商品情報■
・今、自分は「ある」よりも「ない」だと思っている人
・自分の生き方に選択肢が「ない」と思ってる人
・いつか「ある」状態になりたいと思ってる人
この本はそんな人にこそ読んでもらいたい。
タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者 :徳谷柿次郎
出版社 :風旅出版
発行元 :Huuuu
定価 :定価 大人1,800円(税別)
判型 :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日 :2022年9月16日(40歳)
目次(抜粋)
1)自分で自分を編集する
2)異常でしたね。執着が。
3)セロトニンがでない部屋
4)おまえすごいな、最高やな!
5)「遊ばなきゃ」っていう意識
6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
8)おまえの俺をおしえてくれ
寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(敬称略)
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