おまえの俺をおしえてくれ

9月16日出版 徳谷柿次郎の書籍『おまえの俺をおしえてくれ』寄稿エッセイブログ

「柿次郎さんと、JYP(日本やってこプロレスリング)」(記:ヤマグチナナコ)

昨年9月、Podast採用で株式会社Huuuuに仲間入りした。採用までに5分ほどの録音音声を送り、その後オンラインを含めて2回の面接があった。その時にはとっくに柿次郎さんは長野へ移り住んでいたから、リモートでの顔合わせになり「わ〜、インターネットの有名人だ!」と内心思った気がする。そしてなんやかんやで入社が決まり、初めて実物と対面したのは確か9月中頃だっただろうか。

 

Huuuuの周りや、柿次郎さんの周りにいる人たちは、各土地土地で出会い、何度かまた別の場所で再会したり、ひょんなきっかけで仕事をする中で関係性を深めていった人たちばかりだ。なんなら飲み屋で泥酔し顔が茶色になるまで飲み、朝日に顔を焼かれながらそばを啜ったり。もしくは、もう少し穏やかにキャンプの火を囲みながらタバコを吸って身の上話をしていたり。まあ全部想像ですが、私はそういう体験を柿次郎さんと共にしていない。もしくは、他の人々に比べて圧倒的に回数が少ないと思う。

 

だからなのか、Huuuuに入ったあと私は圧倒的な情報不足に直面した。みんなが柿次郎さんという人の話をしていて、「柿さんならこうするかな」「柿さんに聞かなきゃ」そんな会話が飛び交う。私がフラ〜っと入れてもらったコミュニティには圧倒的な「柿次郎さん」が既にいて、私だけがよくわからないまま、なんとなく分かったような感じを出しつつこなしている…みたいな感覚。ここで明らかにしておきたいのは、それに対して疎外感を感じているわけではない。私自身、知らないコミュニティに身を投じることが嫌いじゃないし「こういうものだな〜」と思う。だからこそ(常識の範囲内で)勝手にやらせていただいてるし、それがある程度は歓迎されるのかなという打算もある。

 

そしてもう一つ、柿次郎さんが私に教えてくれた自身の「行動原理」を頼りにしている。あれは多分、初めて会った9月の長野だったか、もしくは冬のCITANだったか。時と場所があんまりはっきりしていないけれど、まあそれはあんまり大事ではないのでどうでもいい。柿次郎さんは入社して間も無い私に、どこかの道を歩きながらこう説明してくれた。

 

「プロレスとヒップホップが好きなんです。基本、僕の振る舞いはそれに則ってると思ってもらえたら、理解できると思います」

 

ッハ〜〜〜!なるほど!!!!…とその場でリアクションしたかどうかもあんまり覚えていないが(多分してない)、そのときに脳のシナプスがバチッとつながるような、ひらめきに近いものがあった。正直、それまでは「なぜこのタイミングでこういうことを言ってるんだ?」と疑問に思うことも多かった。もっとマジに正直に言うと「違う文化圏かも…」「私の知らないコミュニケーション方法…」と思っていたこともあった。

 

ヒップホップはそれほど明るくないが、全日本プロレスは好きだ。縁があり何度か新木場会場で試合を見せてもらったことがある。最初は「マッチョが殴り合うところなんか見たくないのだが…」と拒絶反応を示していたけれど、段々と試合に引き込まれ、まだ新人だった青柳選手をキラキラした目で追い、緑色の液体を吹き出すTAJIRIに目を丸くした。終いには「宮原ーーーーー!」と自慢の声のデカさで野次を飛ばしていた。

 

そこにあったのは無秩序な暴力ではなく、徹底的なストーリーと魅せ場。そして同時並行で行われる、リアルな身体のぶつかり合いだった。時には場外まで戦いは及ぶけれど、それが観客に及ばぬよう、若手レスラーがちゃんと誘導してくれる。相手の攻撃を受け合い、戦う姿をありありと見せつけ、リング上から決して逃げない。そして観客はその戦う姿にいつの間にか身を乗り出し、なんならちょっと泣いてしまう。そして気づくと、物販コーナーへタオルを買いに行っている。物販に立つ選手は先ほどの試合とは打って変わって礼儀正しく、ファンと共に写真を撮り、差し入れを受け取り、一人ひとりに対して丁寧すぎるほどに挨拶をしてくれる。

 

それから私は、その言葉を頼りに、柿次郎さんの行動原理を捉えようとしている。リングに自ら上がったのか、もしくは気づいたらリングの上にいたのか。もしくはヒップホップで言うと、板の上にいる…なんだろうか。どれもその経緯を詳しくは知らないけれど(きっと著書で明らかになるんだろう)、その姿をみてみんなが心を動かし、気付いたら拳を突き上げ「やってこ!」と叫んでいる。インターネットでもリアルでも、マイクパフォーマンスを忘れない。けれど普段はめちゃめちゃ腰が低く、いつも人からお土産をもらったり、まるでファンレターのようなメッセージが若者から届き、それに一つ一つ反応を示している。素直に、えらいこっちゃ〜大変だな〜と思う。けれどその行動全てをとって、徳谷柿次郎でもあるっぽい。つくづく因果だな〜〜と思う。

 

そういえば、小学生の時に中国・上海へ引っ越し、インターネットに齧り付いていた時代があった(なぜなら日本のテレビ番組は繋がらず、日本語での最新情報はネットにしかないから)。ネット規制をくぐり抜け見ていた記事の中には、柿次郎さんが書いたオモコロもあった。インターネットで燦々と輝くウェブ記事たちを片っ端から読む真っ暗な夜。多分あのインターネット体験があったから、なんやかんやで文章(最初はブログだった)を書いたり、いまの仕事をしているような気もする。少なくともインターネットが大好きな一端は、柿次郎さんが担っている…と文章を書いていて気付いた。ドヒャ〜。こうなるとまさしく、憧れのレスラーのようだ。画面の向こうの、あのリング(テキストサイト)。こうなると私もレスラーになりたい…と書く流れでもあるが、正直そういうわけではないから不思議だ。落語家にはなりたいなと思う。同じようなものだろうか、そうでもないな。

 

プロフィール

ヤマグチ ナナコ

編集&イラストレーター。武蔵野美術大学 芸術文化学科卒業後、雑誌編集を経てHuuuuにPodcast採用で仲間入り。西東京で落語とラジオを聴いて愛猫を撫でつつ、Huuuuで編集したり、フリーでイラストレーターしたり、趣味で落語を覚えたりしています。高座名は朝食亭晩ごはん。

 

おまおれエッセイ寄稿コンテスト開催中(8/20〜9/16)

アイデンティティを他者との対話で探る。今回の本のポイントです。テーマ「おまえの中の柿次郎を教えてくれ」でエッセイを寄稿してみませんか?

10名の方におまおれ本と黒磯本をセットでお送りします。

 

※詳細・応募フォームはこちら

『おまえの俺をおしえてくれ』エッセイ寄稿コンテンスト 受付フォーム

 

9/16 出版記念イベント開催@東日本橋CITAN

東京@東日本橋のホステル「CITAN」で出版記念トーク&販売会やります。トーク相手に柳下さん、石崎くん。DJはスリーパーさん。

40歳誕生日にかこつけて、お祝いに本を買ってもらう商魂たくましい催しです。

 

※イベント詳細・参加はこちら

www.facebook.com

 

書籍概要

■商品情報■
・今、自分は「ある」よりも「ない」だと思っている人
・自分の生き方に選択肢が「ない」と思ってる人
・いつか「ある」状態になりたいと思ってる人

この本はそんな人にこそ読んでもらいたい。


タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者        :徳谷柿次郎
出版社    :風旅出版
発行元    :Huuuu
定価        :定価 大人1,800円(税別)
判型        :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日    :2022年9月16日(40歳)

 

目次(抜粋)

1)自分で自分を編集する
2)異常でしたね。執着が。
3)セロトニンがでない部屋
4)おまえすごいな、最高やな!
5)「遊ばなきゃ」っていう意識
6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
8)おまえの俺をおしえてくれ

寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(敬称略)

 

huuuu-jp.stores.jp

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※この商品は「予約販売」となります。
ご予約(ご購入)いただいた方には、9/16より順次発送させていただきます。


■おしらせ■

Day1
日時:9月16日(金)
タイトル:徳谷柿次郎著『おまえの俺をおしえてくれ』出版記念パーティー&トークイベント
場所:CITAN(地図)
入場料:2000円(25歳以下無料) ※レジで書籍購入可能
トークゲスト:かもめブックス代表 柳下恭平さん、株式会社Backpackers’ Japan 石崎嵩人さん
開場:18:00 / トーク:19:00-20:00
DJ:dj sleeper / DJ KRO / DJ AKITO

 

Day2
日時:9月17日(土)
タイトル:スナック『夜風』 開店パーティ
場所:長野市鶴賀上千歳町1324-6 第一レジャーアイランド3F
時間:17:00-0:00
instagramアカウント:

https://instagram.com/snack_yokaze

 

2022年9月16日(金)東京を駆け巡ります!
→11時半〜12時半
@下北沢BONUS TRACK 路上たたき売り販売会

→14時〜16時
青山ブックセンター  出版記念トークイベント(ゲスト 柳下恭平、藤原印刷)

→18時〜23時
@CITAN(東日本橋) 出版記念パーティ(ゲスト 柳下恭平、石崎嵩人)

(詳細が決まり次第、続報をお知らせします)

 

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