おまえの俺をおしえてくれ

9月16日出版 徳谷柿次郎の書籍『おまえの俺をおしえてくれ』寄稿エッセイブログ

「眩しい。だからこそまた会いたい。」(記:宮本雅就)

僕と柿次郎さんとの出会いはHuuuuのPodcast採用だった。

大学卒業後、僕は京都でフリーターをしていた。当時は自分の将来に対し漠然とした不安を抱えており、Huuuuで正社員の募集を見つけたときは、運命の出会いでもしてしまったかのようだった。興奮が冷めやまぬうちに音声を録音し、すぐに応募した。

選考は1次から2次へと進み、運よく3次のzoom面接までたどり着いた。これしかないけどこれが俺の全てや!いけ!と大学卒業前に作った雑誌を武器に僕は面接へ挑んだ。
面接には柿次郎さんがいた。柿次郎さんのことはジモコロでもともと一方的に知っていたので、画面越しとはいえ僕にとっては念願の出会いだった。

面接時間は10分ほどだったように思う。基本的な進行や質問はだんごさんがされていたので、その場で柿次郎さんが話す機会はあまりなかったと記憶しているが、だんごさんと日向さんがリラックスし、のびのびと僕に質問し、聞いてくれる雰囲気に僕は心地がいいと感じたことを覚えている。それはきっと柿次郎さんが普段からおふたりを信用し、任せているからなのだろうと思った。

 

面接が終わり、それから少しして不採用通知が届いた。しかし僕の心が沈むことはなかった。不思議とまた柿次郎さんとお会いできるような気がしていたからだ。

またそれから少しして、普段鳴るはずのないメッセンジャーの通知が鳴った。柿次郎さんから京都でお茶でもどうですか?というような内容だった。

 

緊張しながら待ち合わせ場所へ向かい、柿次郎さんに会った。

柿次郎さんが行く先々にはかっこいい大人がいっぱいいて、そんな人たちと親しげに話す柿次郎さんはかっこよかった。しかし同時に、何者でもなく、とにかく自分に自信がなかった当時の僕には少し眩しくもあった。

2日間京都を連れ回してもらったが、おもしろい話一つできず、ただ着いていくだけで、やっと会えた人に何の爪痕も残せなかった自分自身に情けなく思っていた。そんな僕を知ってか知らぬか、柿次郎さんは「明日金沢においしいお寿司を食べに行くけど来る?」と僕に言った。

どうしてだろう?どうしてこうまで声をかけてくれるのだろう?と思った。

 

しかし、再会を繰り返すうちにその疑問は薄れていった。

シンカイのイベントに参加する旨のメッセージを送ったとき「岐阜での生活の調子はどう?」と近況を聞いてくれ、僕が住んでいる地域の近くに来られるときは「◯日から郡上に行きます!」と連絡をしてくれた。僕が柿次郎さんとの再会を望めば、また会うことを受け入れてくれた。

来るもの拒まず去るもの追わず、という言葉があるが、さらに柿次郎さんは来るものにはほっとけない人なのだと思う。

これだけ日本中に柿次郎ファンがいる正真正銘の人気者なのに、ひとつひとつの出会いを本当に大切にされている方なんだろう。

 

僕はそんな柿次郎さんが大好きで、柿次郎さんは僕が目指すべきかっこいい大人である。

 

プロフィール

宮本 雅就(みやもと まさなり)

1997年、大阪生まれ。ワーホリや東南アジア放浪を経て、2021年に岐阜県郡上八幡へ移住。 本好きが高じ、レターパックを使用した図書館、遠距離図書館「ASTRAVY」を開設。 大好きな郡上八幡を個人的に宣伝し、人に来てもらい、大好きな本を勧めるエゴの塊。 旅と本と音楽が好き。

 

おまおれエッセイ寄稿コンテスト開催中(8/20〜9/16)

アイデンティティを他者との対話で探る。今回の本のポイントです。テーマ「おまえの中の柿次郎を教えてくれ」でエッセイを寄稿してみませんか?

10名の方におまおれ本と黒磯本をセットでお送りします。

 

※詳細・応募フォームはこちら

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9/16 出版記念イベント開催@東日本橋CITAN

東京@東日本橋のホステル「CITAN」で出版記念トーク&販売会やります。トーク相手に柳下さん、石崎くん。DJはスリーパーさん。

40歳誕生日にかこつけて、お祝いに本を買ってもらう商魂たくましい催しです。

 

※イベント詳細・参加はこちら

www.facebook.com

 

書籍概要(仮)

タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者        :徳谷柿次郎
出版社    :風旅出版
発行元    :Huuuu
定価        :定価 大人2000円(税別)※指定販売店にて学生割引有り
判型        :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日    :2022年9月16日(40歳)

対談、エッセイ、旅の雑感などの体裁をとる本書は、「人生のわからないを増やす」を信条とする、風の思想家・徳谷柿次郎が、人生の読点として不惑を迎える節目に刊行されます。もともと何も持っていなかった著者が「ない」を「ある」に変えていく変遷を半生記として描き、それは、これから人生の進む方向を考えている若い読者に、勇気を与える思想書としても読まれるでしょう。自問の末にたどり着いた「おまえの俺をおしえてくれ」という他者への問い。ゼンブツナガッテル。


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目次(抜粋)

はじめに

1)自分で自分を編集する
『拾い癖』/兄貴のエロビデオをスケッチ鑑賞した記憶/冴えない新刊本屋のおじさんと奇妙な関係/インターネット上での異常なアウトプットが夢につながった/

2)異常でしたね。執着が。
自分の居場所を探していた/部屋と家族の記憶/人生のカードデッキ論/怒りは実践の原動力/松屋のバイトで学んだ逆算の仕事観/新聞配達で培った毎日働くことの習慣/

3)セロトニンがでない部屋
「ない」について/家族の愛がない/お金がない/文化資本がない/夢がない/ヒップホップは社会を映す鏡である/アイデンティティの強制上書き/

4)おまえすごいな、最高やな!
無視できない東京という街/上京資金を貯めるエクセル50万円の記録/バイト中に突如訪れた東京のチャンス/「ないローカル」と「あるシティ」

5)「遊ばなきゃ」っていう意識
自炊の先にタモリがいる/ハワイの海は風呂説/旅の回復論 ドーミーインは脳内自宅となる/ローカル取材で生まれる「返礼」の意識/スタイルで金を稼いで、メシを食う

6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
中央集権とタワーマンション/「つくる」意識と「奪われている」意識の差が大きくなる/息を吸って吐くようなインターネット生息論/かましの経営美学/「人生の孤独を持ち込むな」ローカルのコミュニティ問題

7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
移動しながら考えたこと/自己決定を繰り返しておもしろく生きる/蜂・ゴリラ・蟹/「能」で見立てる編集者論/人生の、わからないを増やす

8)おまえの俺をおしえてくれ
寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(掲載順未定)(敬称略)

おわりに

 

柿次郎×土門蘭 出版カウンセリングRADIO