おまえの俺をおしえてくれ

9月16日出版 徳谷柿次郎の書籍『おまえの俺をおしえてくれ』寄稿エッセイブログ

「たまにしか会わない女より。」(記:竹中陽子)

柿ちゃんとの出会いは6年前、夫に連れられてライター・編集者男子飲み会にお邪魔した時だった。

 

途中で夫が席を外し、私だけ初対面でなんとなく気まずい中、柿ちゃんは「ようこさ〜ん、竹中さんはいつも金出させてくんないんすよ~、なにで恩返ししたらいいんすか~」と夫の男気を教えてくれつつも、サラリと会話の仲間に入れてくれた。

 

あれ、すごく嬉しかったな。

あの場に誰がいたのか全く覚えてないけど、柿ちゃんの一言だけは覚えている。

 

みんな出会い方は千差万別だけど、私みたいな経験をして柿ちゃんに惚れ込んだ人も多いんじゃなかろうか。

 

こんな風に、柿ちゃんはいつも周りに気を配ってサラリとフォローしているんだろうな。

だって、いつも柿ちゃんの周りには誰かがいるから。

 

Huuuuがギルド型だから業務上、編集者・ライター・取材対象者が周りにいるのは当たり前なんだけど、やることやったら帰ってね、みたいなドライな関係ではなく、コトが終わってもなんとなく一緒にいてつながっている感覚が残っているようなウェットな関係に見える。

 

ドラクロワの『民衆を率いる自由の女神』のジャンヌダルクみたいに旗を振って圧倒的な見た目や雰囲気で「あ、この人がリーダーだ!」ってわかる感じじゃなく、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』みたいに同じテーブルに座っていても「あ。この人を信じてみよう」って思えるキリストっぽい雰囲気が柿ちゃんにはあるよね。それがウェットな信頼関係構築の肝なのかな。

 

普段は物静かでニコニコしてておしゃべりのトーンも淡めなやさしい柿ちゃんの目から狂気が滲み出る長野の迷イベント「やってこ!」に至っては、ウェットというか、沼だけど。

 

柿ちゃんは、それぞれの沼に棲む酔狂おじさん達をシンカイに集結させ同じテーブルに座り、おじさん達の目がバキバキになるまで「やってこー!!」と叫んで、小学生が下ネタでキャッキャ盛り上がるようなテンションの夜に発破をかけ続け、おじさん達の中に蠢くフラストレーションを全解放させ、酒で洗い流し、温泉に浸けて仕上げる。

 

明け方まで続くやってこ狂宴は、出店者全員を死人のような目と肌に変えるけど、不思議とみんなスッキリしているように見える。そして、酔狂おじさん達はまた沼の中にある面白いの根っこを探しに出かけて、1年後くらいにまた柿ちゃんに呼ばれて嬉々として集結するんだよね。

 

この時の柿ちゃんの細い目の奥からは、誰にも何にも期待していないような、いつ何がどうなってもいいし、むしろどうにかなっちゃえ、という余裕すら滲み出ているように見える。

ハードボイルド少年期の柿ちゃんが見え隠れするのかな。

 

”ニコニコ優しい柿ちゃん” のイメージがある一方で、実は地上から5cmくらい浮いてて、物理的に触れられる距離にいるのに心は遥か彼方にあって、そばにいる人をちょっと不安にさせる感じもある。

重力に逆らってフワフワと浮いている柿ちゃんが、強い風に乗ってどこかに飛んでいってしまわないように、持ち回りで誰かが袖をキュッと掴んでいるみたい。

 

いや待てよ、風がいつも強風だとはかぎらないな。

ああ、そうか。柿ちゃんは磁石なのか。

 

一度触れたら離れがたい磁力が柿ちゃんの皮膚から滲み出ていて、反応してしまったら最後。その魅惑的な磁力に抗えない。職業、役職、年齢、性別、地域、共通点がありそうでなさそうな人々が無意識に柿ちゃんに吸い寄せられていく。逆も然りで、柿ちゃんも強力な磁力に呼応して全国を飛び回っているのかもしれない。

 

その磁力は、どんどん強くなっている気がする。

50歳になった柿ちゃんは40歳よりも、もっと魅力的になるね、きっと。

 

 

プロフィール

竹中 陽子(たけなか ようこ)

CHANCE THE CURRYの便利な女。兼タケナカリーの嫁。転職回数7回、引っ越し回数8回の風気質。

 

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書籍概要

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■商品情報■
・今、自分は「ある」よりも「ない」だと思っている人
・自分の生き方に選択肢が「ない」と思ってる人
・いつか「ある」状態になりたいと思ってる人

この本はそんな人にこそ読んでもらいたい。


タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者        :徳谷柿次郎
出版社    :風旅出版
発行元    :Huuuu
定価        :定価 大人1,800円(税別)
判型        :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日    :2022年9月16日(40歳)

 

目次(抜粋)

1)自分で自分を編集する
2)異常でしたね。執着が。
3)セロトニンがでない部屋
4)おまえすごいな、最高やな!
5)「遊ばなきゃ」っていう意識
6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
8)おまえの俺をおしえてくれ

寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(敬称略)

 

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