またカニのマネしてる。きっとテンションが高く、変わり者の編集長なんだろうな。出会う前の、僕の徳谷柿次郎に対するイメージ。
その後、WEBメディアの『ジモコロ』に僕たちの罠シェアリング活動を紹介してくれたご縁があり、罠の紹介がてら山の中で彼と出会うことになった。
いざ会ってみると、とても常識人。しっかりと受け答えができて、気持ちの良い質問を投げかけてくれる。気さくで、落ち着いて、話が通じる。思っていた印象と違い、常識のある編集長だった。
「柿次郎さん、SNSでやってる蟹面白いですね?」と彼に感想を投げかけてみた。「いやぁ、ウケると思って…」くらいの返事を期待していると、とてつもなく小難しい返事が返ってきた。小難しすぎて一文字も思い出せない。とにかく理念と信念があって、現場で得たことがが宝石のように輝かしい体験だからカニをしているらしい。あの湯煙の中から現れるタラバガニが?
その次は、彼と、彼の仲間たちへ僕らがつくるご飯を食べてもらう機会があった。めっちゃ食べる、食べる、たべる。僕たちが獲った鹿や育てた野菜、握った米を口いっぱいにほおばり、全て美味しいと言ってくれた。ただ、彼らは用意した椅子には座らずに、地べたに座っていた。変わった人たち。
一緒に出店した日の夜に、僕らのアジトにやってきて、焚き火を楽しんだ夜もあった。その時も、めっちゃ食べてくれた。作ったのものを美味しく食べてくれると、自分を肯定してくれる様な気になってとても嬉しい。ただ、アポらしいアポはなかったように記憶している。
彼と、彼の仲間たちと酒を呑む機会もあった。小難しい話をして眉間にシワを寄せたと思ったら、腹を抱えて笑えるジョークを飛ばし、酒席こその下世話な話題も上品に語り、酒をグイグイと楽しんで、何故か唐突に玄米の良さを伝えはじめる。話題のジェットコースターにどんどんと巻き込まれていき、気付けば僕は彼にマッチングアプリを始めるか否か、の相談をしていた。答えは、東京に一緒にいこう。だった。なぜ東京?
気付けば僕は、徳谷柿次郎が好きだった。彼だけでない、彼の周りの人たちや作るもの、感性などが好きだ。それは、彼の作る世界がすべて優しい本気で包まれており、本気なのにトゲトゲしくなく、心地よい脱力を感じるからである。彼の周りは、“楽しんで全力を尽くす”で溢れている。彼らと一緒にいれば、同じものを吸収していけば、僕たちもそうなれる様な気がした。何者かになれる様な気がした。
ただ、カニのやつだけはようわからんな、と思っている。
プロフィール
川端 俊弘(かわばた としひろ)
狩猟をポップカルチャーにしたいと思い株式会社山学ギルドを設立。鹿肉を売ったり、ツノや骨を売ったり、ハンティングツアーを企画しています。本業はブックデザイナー
おまおれエッセイ寄稿コンテスト開催中(9/30迄延長)
アイデンティティを他者との対話で探る。今回の本のポイントです。テーマ「おまえの中の柿次郎を教えてくれ」でエッセイを寄稿してみませんか?
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書籍概要
■商品情報■
・今、自分は「ある」よりも「ない」だと思っている人
・自分の生き方に選択肢が「ない」と思ってる人
・いつか「ある」状態になりたいと思ってる人
この本はそんな人にこそ読んでもらいたい。
タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者 :徳谷柿次郎
出版社 :風旅出版
発行元 :Huuuu
定価 :定価 大人1,800円(税別)
判型 :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日 :2022年9月16日(40歳)
目次(抜粋)
1)自分で自分を編集する
2)異常でしたね。執着が。
3)セロトニンがでない部屋
4)おまえすごいな、最高やな!
5)「遊ばなきゃ」っていう意識
6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
8)おまえの俺をおしえてくれ
寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(敬称略)
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