「40代は人生の夏。楽しみなさい」
そう先輩に言われたことがあります。
30代で芽吹かせたことを、ようやく奔放に気持ちよく茂らせることができる、または、もっと自由闊達に周りに囚われること無く動けるようになる、そんな意味が込められていると思っていますが、このところ、そういった「夏らしさ」を柿ちゃんに感じていました。
彼は好奇心が旺盛です。
やりたいことは今やるのだという気迫が、夏休みを謳歌する少年のようです。
その少年は、誰に頼まれたわけでもないのに、わからないことを増やし、探求する自由研究にも夢中です。ギラギラしています。
熱帯夜は、ちょっと散歩するだけでも何かが起きる予感がしますね。
そんな夜に、風通しが良く、人が集まる場所を作っているのもその少年です。
彼のまわりには暑くて眠れない人達が集まって、とても愉しそうにグラスをぶつけ合っています。
やってこ。やってこ。いい循環です。
ちょうどこの本を出版する日に40代に入るそうですから、僕の見立ては間違っていなかったでしょう。
さて、この本のタイトル「おまえの俺をおしえてくれ」ですが、柿ちゃんからこう聞かれたのは僕にとって初めてではありません。
「僕ってどんな風に見えていますか?」と最初に柿ちゃんに聞かれたのは、ゴールデン街のカウンターでした。おそらくは3年くらい前です。
今思うとその頃から、今回の本の着想があったのかも知れません。その日は酔っていましたし、酒場で日付が変わった後の会話なんてろくなもんじゃないですから、朧げに「ルサンチマン(弱者が強者に持つ憤り)を上手に燃料にしている人」みたいなことを返答したと思います。
彼をよく知る人は、その出生や青春時代の壮絶な苦労話から、この言い回しが妥当なものだと理解してくれるでしょう。でも、白状すると、それを口に出したその瞬間から、どうも僕の方が消化不良なんです。
だって、彼は、自分の興味に正直になって、師を見つけ、独りで立ち、成り上がったのです。編集と向き合う姿勢は組織に形を変え、今は伝えたいことを苦労しながらも、伝わってほしい人達に届けています。
つまり、もう労ってやるしかない男ではないのです。だから、過去を燃料にしているというのは、少し浅薄な気がしてしまう。もっと彼は前を向いている。
冒頭に戻りましょう。そして、改めて伝えましょう。
今の彼は「夏の少年」です。
過去を取り戻すのではなく、過去を過去のまま丁寧に置いてきて、今は少年のように未来を見ている。自由研究と向き合っている。
柿次郎は夏を過ごしています。
菊次郎の夏に似ていて、うらやましい限りです。
プロフィール
タケナカリー
Chance The Curry Inc. 代表。カレー活動家。カレー三兄弟の三男。好きな概念はカレーです。
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書籍概要
■商品情報■
・今、自分は「ある」よりも「ない」だと思っている人
・自分の生き方に選択肢が「ない」と思ってる人
・いつか「ある」状態になりたいと思ってる人
この本はそんな人にこそ読んでもらいたい。
タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者 :徳谷柿次郎
出版社 :風旅出版
発行元 :Huuuu
定価 :定価 大人1,800円(税別)
判型 :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日 :2022年9月16日(40歳)
目次(抜粋)
1)自分で自分を編集する
2)異常でしたね。執着が。
3)セロトニンがでない部屋
4)おまえすごいな、最高やな!
5)「遊ばなきゃ」っていう意識
6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
8)おまえの俺をおしえてくれ
寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(敬称略)
【一冊販売】『おまえの俺をおしえてくれ / 徳谷柿次郎』 | 風旅出版
【5冊卸販売】『おまえの俺をおしえてくれ / 徳谷柿次郎』6掛け 9/30迄 | 風旅出版
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