おまえの俺をおしえてくれ

9月16日出版 徳谷柿次郎の書籍『おまえの俺をおしえてくれ』寄稿エッセイブログ

「追い風なんか待ってられない」(記:風音)

よくわからないけどすごい人らしい。

長野に移住してから約一年。面白そうな場所、イベントに行くとほぼ必ず名前が出る「カキジローさん」。本人の顔を見たことはなかったが、名前だけは絶えず耳に入ってきた。会えたらラッキーくらいの、半ば都市伝説的な存在だと思っていた。

2021年の年末、友人をシンカイに連れていったら、「カキジローさん」がやってきた。友人が「アッ、柿次郎さん……。まさか会えるなんて」と小さく声を上げた。長野県外でも有名なのか、とぼんやり思った。友人のついでに挨拶をした。

実際に眼の前に立って言葉を交わしてみて、掴みどころのない人だと思った。凪いでいる。穏やか、に見える。私は、「優しそう」な人にはニ種類あると思っている。ぬくぬくと不自由なく生きてきた故の余裕か、修羅場と場数を踏んできた故の動じなさと寛容さ。この人はどちらなんだろうと思った。

年が明けた。私は駆け出しのライターで、初めてインタビュー記事を書く依頼が入った。勉強のために色んな記事を読み漁っていたら、ある日、土門蘭さんによる柿次郎さんのインタビュー記事を見つけた。おお、あの柿次郎さんか。早速読んでみる。親の借金、新聞配達、48回払いで買ったmac松屋バイト……。柿次郎さんは、東京で書く仕事がしたい一心で貯めた50万円を手に、26歳で上京したという。同じく26歳で、「書く仕事がしたいな~」と思いながらもぬるく生きていた私は鈍い衝撃を受けた。もう26歳だと思っていた。まだまだここからじゃん、と思った。

それからほんの数日だったと思う。ただただTwitterをスクロールして流し見ていたら、柿次郎さんのツイートが流れてきた。【風のアシスタント募集】。柿次郎さんが代表を務める編集の会社、Huuuuのアシスタント募集。締め切りは、翌日。ライターの仕事を始めてまだ数ヶ月、実績と言えるものはほとんど無かったが、ちょうど数日前に長野の親友にインタビューした記事が公開されたところだった。土門さんの記事にあった、松屋の締め作業をパートの雅子さんに任せて東京から来た編集者に会いに行った柿次郎さんの話を思い出した。乗りたい、絶対この波に乗りたい。

応募から1か月以上が経った。これは落ちたな! と凹み、立ち直った頃に「長野市でお茶でもしませんか? 地の利がありすぎるので……」と柿次郎さんからDMが来た。地の利! 長野の街でに暮らしてみたい、という勢いだけで移住してきた私からしたら、こんなうれしいことはない。長野の案件をメインに記事を書ける人を探しているとお話をもらい、「いつまで長野にいるの?」と聞かれた。「いつまでいるんでしょう……」とバカ正直に答えたのに、帰り際に「じゃあ、これからよろしくお願いします!」と言われ、え、採用された……?と思っていたら数週間後に早速イベントレポートの仕事が来た。

「風音ちゃん、こういう話があるんだけど、やる?」それからは、柿次郎さんやHuuuuのメンバーの方々からポーンと放たれてくるボールを、「やります!」と打ち返す日々だ。

ある日の取材に向かう車の中で、雑談中に柿次郎さんが「自分の街は自分で面白くするんや!」とポロっと言ったのが胸に残っている。自分の立っている場所がつまらないと思うなら、思い切って飛び出すか、自力で面白くしたらいい。土を耕し、編集のタネをまき、窓を開けて外からの風を通す。これから更に面白くなっていくであろう、ここ、長野の街で、いろんな人を巻き込んでぐんぐん進んでいく柿次郎さんは、風というより台風みたいだなぁと思う。台風の真ん中は、いつだって凪いでいて穏やかだ。

 

プロフィール

風音(ふうね)

1995年生まれ。2020年、長野市に移住し、同年からフリーライターとして活動。ウェブメディアを中心にインタビュー記事、イベントレポート、お店紹介などの執筆を行う。散歩と映画と喫茶店が好き。

 

おまおれエッセイ寄稿コンテスト開催中(8/20〜9/16)

アイデンティティを他者との対話で探る。今回の本のポイントです。テーマ「おまえの中の柿次郎を教えてくれ」でエッセイを寄稿してみませんか?

10名の方におまおれ本と黒磯本をセットでお送りします。

 

※詳細・応募フォームはこちら

『おまえの俺をおしえてくれ』エッセイ寄稿コンテンスト 受付フォーム

 

9/16 出版記念イベント開催@東日本橋CITAN

東京@東日本橋のホステル「CITAN」で出版記念トーク&販売会やります。トーク相手に柳下さん、石崎くん。DJはスリーパーさん。

40歳誕生日にかこつけて、お祝いに本を買ってもらう商魂たくましい催しです。

 

※イベント詳細・参加はこちら

www.facebook.com

 

 

書籍概要

■著者プロフィール■
徳谷柿次郎
1982年大阪生まれ。長野県在住。新聞配達と松屋のシフトリーダーを経て、26歳のときに背水の陣で上京し、コンテンツメーカー「有限会社ノオト」へ潜り込む。2011年に「株式会社バーグハンバーグバーグ」入社。バックオフィス、広報、WEBディレクター、ライター編集職を経て2017年に満を持して独立し、「株式会社Huuuu」を設立。全国47都道府県のローカル領域を軸に活動している。どこでも地元メディア『ジモコロ』編集長7年目。長野県の移住総合メディア『SuuHaa』を立ち上げたり、善光寺近くでお土産屋『シンカイ』を運営したり、自然と都会の価値を反復横とびしている。


■商品情報■
・今、自分は「ある」よりも「ない」だと思っている人
・自分の生き方に選択肢が「ない」と思ってる人
・いつか「ある」状態になりたいと思ってる人

この本はそんな人にこそ読んでもらいたい。


タイトル :おまえの俺をおしえてくれ
著者        :徳谷柿次郎
出版社    :風旅出版
発行元    :Huuuu
定価        :定価 大人1,800円(税別)
判型        :変形四六判(113 mm ×182mm)
発売日    :2022年9月16日(40歳)

 

目次(抜粋)

1)自分で自分を編集する
2)異常でしたね。執着が。
3)セロトニンがでない部屋
4)おまえすごいな、最高やな!
5)「遊ばなきゃ」っていう意識
6)ずっと下唇震えてましたからね、急に決断迫られて
7)自分にとって一番いい栄養分があるところに容赦なく動ける
8)おまえの俺をおしえてくれ

寄稿「おまえの俺をおしえてくれ」
小林直博/原宿/宮脇淳/シモダテツヤ/小野田弥恵/MOTOKO/塩谷舞/カツセマサヒコ/納谷ロマン/小倉ヒラク/藤本智士/友光だんご/石崎嵩人(敬称略)

 

huuuu-jp.stores.jp


※この商品は「予約販売」となります。
ご予約(ご購入)いただいた方には、9/16より順次発送させていただきます。


■おしらせ■
学割 対面販売キャンペーンをやります!

 

長野市『シンカイ』実店舗
・9月16日 出版イベント@CITAN(東日本橋
・9月18日 出版イベント@シンカイ(長野市

 

「本読みたいけど、お金がないよ!」とお嘆きの学生向けに対面販売限定の格安販売キャンペーンを行います。上記の店舗、全国出版ツアーのイベント会場に来てもらって「学生証」を提示してもらったら、野口英世×1=「1000円(税込)」で販売。いつか出会える「おまえ」のために「おれ」が足を運んで、ギリギリ価格で攻めます。定価で買ってから値下げのキャッシュバックはできないのでご注意ください(そりゃそうだろ!)。

 

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